ライムが初任務を終えた日の翌日。
カレルが目を覚ました時、ベットに横になっているのではなく、ベットがくっついている壁に寄りかかっている状態で目を覚ました。
「…?」
若干不思議に思ったが、それは背中からの信号によって払拭された。
痛み。
一応傷は塞がっているはずだが、骨に残ったダメージは癒えていないらしい。全治三日と言われているから当然ではあるが。
「くぁ~あっ…」
あくびをして寝ぼけた眼をさすって、思うことが一つ。
まずは隣で寝間着の裾からいけない感じで下着をのぞかせているライムを叩き起こすことが先決だ。
「……ってことだから、男の子の部屋で無防備に寝るのはよろしくないよ?」
「はぁうう……」
カレルがベットのシーツを思いっきり引きあげたことで空中で高速回転したライムは、カレルの説教を全く聞いていない。それ以前に寝ぼけているので、カレルが未だにパジャマからはみ出た下着から顔をそらしていることに気づいていない。
「…やっぱり朝の目覚ましには冷たい氷が必要かな」
若干顔に青筋を浮かべると、カレルは端末から氷を取り出し、ライムの首筋に押し当てる。
「ひゃふぅっ!?」
「おごあっ!?」
一瞬で意識が覚醒したライムは、自分の姿を見下ろすと、短い悲鳴とともにカレルをぶん殴ったのち、布団にくるまってしまった。
「…………」
「…………」
双方気まずい沈黙が流れる中、カレルは小さい子に語りかけるように言葉を紡ぐ。
「だからね、恥ずかしい思いをするんだから、オトコノコの部屋で寝るのはよろしくないよ?」
「……今晩は一緒にいてくれないか、って言ったのはカレルさんじゃないですか……」
「……………………」
――あれ、そうだっけ!?
なんかそんな気がしないでもないが、正直一時間近くも肩にドリルをねじ込んでかき回すような痛みで意識がもうろうとしていたのでよく覚えていない。つまりその時自分は理性が飛んでていやいやだったら余計にまずくねいや襲わなかっただけいいのかいやいや……的なことをカレルが考えてる横で小声で言われた、「実は少しうれしかったんですけど…」発言はカレルの耳には入らなかった。
「…ま、まぁ、まずは朝ご飯でも食べにいこうよ」
ごまかすように言った言葉にライムは頷くと、二人は部屋を出た。
そのとき、廊下を歩いていたタッカと目が合った。
数秒の沈黙ののち、タッカは心底面白そうな顔で一言。
「昨夜はお楽しみでしたね?」
次の瞬間、第7支部に轟音が響き渡った。