「…疲れた」
「ホントですわ…。仕方がないとはいえ働きすぎましたわね…」
「ま、いいじゃんいいじゃん! ライムちゃんのためなんだしっ!」
「タッカ、落ち着いてくれたまえ。では、これから支部に戻って突入作戦について会議をするぞ」
「了解…うわ、着信がすごいことになってる…。これ全部ライムからか。電話に出る暇すらなかったからな~…」
「相当頼られてるんですね、カレルさんは」
「うらやましいぜっ」
「はは…。ってかヤバイ本当どう説明しよう」
「突入の難易度を下げるために働きまくってました、じゃダメなのかね?」
「『寂しかったんだからね!』の一言でももらえればそれもいいんだけど…。すごく怒られそうだ」
「まぁ、それは置いておいて、だ。カレル。君の張ったあの糸は丈夫なんだろうね?」
「ああ。強度なら像が落ちてきても切れないくらいは保ってある」
「それで、突入の時はすぐほどけるようにはしたの?」
「当然。俺が魔力を注げば一発でほどける」
「そうか。それでは急いで帰るとしようか」
「きゃぁぁ!」
ゲートが開いた瞬間、ライムは悲鳴を上げた。
その理由は簡単。
開いたゲートから大量の一つ目ロボットがあふれ出してきたからだ。
「っく…上等っ!」
一瞬怯んだライムだったが、すぐに体勢を立て直し『アウレリア』を振るい始めた。
「ふう…やっと着いた。ただいま、ティア、ティオ」
「「おかえり(なさい~)」」
「何か変わったことはあったかね」
「エルジラさんが外出してた」
「それは私に対する挑発か?」
「いえ、ただの皮肉です」
「言葉の意味はあっているが、使う状況を間違えてているぞ。…まぁいい。他には何か?」
「あ、そういえばライムさんが散歩に行きましたよ~」
「そっか…早く顔見せたかったんだけどな」
「カレル。見たかった、の間違いではないのですか?」
「否定はしない」
………。
「そういえば、ライムの様子が少しおかしかったな」
「え!? ライムちゃん具合悪いのか!?」
「いえ~、そうではないですが~。なんだか散歩に行くっていう割にはずいぶん重装備だったな~と思いまして~」
「……まさか。…いや、ゲートの糸は俺の魔力でしか開けら…れ…――」
「…確か、ライムちゃんの魔力って…」
「…今思い出した」
「はぁ…! 全く君は……! カレル、タッカ、ウェイン! 一分で準備を整えて行け! 私は支部の守護者に指示を出す!」
「俺はもう行く! 準備できたら追ってきて!」
「分かりました!」
「了解だぜ! それにしてもライムちゃん、なかなかやってくれるな~!」