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『タッカさん! ウェインさん! ここは俺たちに任せてください!』

 カレルを見送った後、二人がゲートの前で湧いてくるロボの相手をしていると、第7支部のみんなの声が聞こえてきた。

「おう、助かるぜ! ウェインちゃん、行こうぜ」

「ええ!」

 支部の増援に感謝しながら、ゲートに入ろうとしたその時、別の方向から来た守護者が叫んだ。

『た、大変だ! 他の場所に開いてるゲートがあるぜ!』

「何だって!? それは何ヶ所だ!?」

『ここの他に二ヶ所だ! 今の戦力では対応しきれねぇ!』

「何とか閉じれないのか!?」

『今の俺らじゃ無理だ! カレルじゃねぇと…』

「マジかよ…!」

 予想外の状況ではあるが、これでもタッカは遊撃部隊副隊長だ。一瞬で作戦を組み上げる。

「今、増援できたのが二十人だよな?」

『ああ、第7支部の戦闘要員全員だ』

「他のゲート二つに十人ずつ、アイルとシュウでそれぞれ指揮をとって当たれ。んで、ウェインはここのゲートから入って、カレルにここのゲートを閉じさせろ。で、終わったらどっちでもいいからもう一つゲートを閉じさせてくれ。その間、ここは俺が対処する。」

『了解!』

「了解ですわ」

 手早く指示をだし、新たに現れてくるロボに向き直ると、

「……こういうときだけ切れ者なんですわよね…」

 なんかぼやく声が聞こえた気がする。

 

 

 

「いやぁ…ホントに死んじゃったかと思いましたよ…。どうやったんですか?」

 地上の見える範囲の敵はほぼ殲滅したため(空中の敵はまっすぐ上空のゲートに向かっている)、少し余裕ができたライムは、水分補給のため2リットルボトルを飲み干しているカレルさんに尋ねる。

「ん~…?『幻影投射(ミラーシェイド)』の魔法を使って照準をずらしただけだよ。特殊な氷を使って、外から出る光はまっすぐ入るけど、中から出る光は屈折するようにしたんだ」

「ビーム砲が何本か不自然に曲がったのも…」

「ああ、割とギリギリを掠めた」

 …相変わらず事も無げにすごいことを言うなあ、とか思っていると、上空のゲートからウェインさんが現れ、同時に濃霧が発生した。

「あれは…『帯電濃霧(スパークリングミスト)』か。ウェインもえげつないことを…」

 カレルさんの言葉が理解できずに首を傾げていると、空中を飛んでいたロボットたちが、殺虫剤をかけられた羽虫のようにバタバタと墜落してきたのだ。

「…何事ですか…?」

「帯電した水滴が内部機構に入り込み、回線をショートさせたんだろう」

 絶えず地面に落ちてくるロボットたちは、墜落の衝撃で勝手にぶっ壊れていく。…危うく少し同情してしまいそうになる。

 着地したウェインさんがカレルに支持を伝えると、カレルさんは一気に跳躍し、一瞬でゲートを閉じた。

 そして、出された指示を遂行するため、二人は走り出した。

 

 

 

「ライトニング~!」

 バチバチバリバリ! という激しい音とともに、悪趣味な一つ目ロボットが機能を停止させていく。

「やるじゃないかティア。いっそ任務もやってみたらどうだい?」

「その言葉、100割増しでお返しします~。私よりエルジラさんの方がぶっ飛んですごいですし~。ってか引きこもってないで任務行けよ~、と常々おもっておりますもの~」

 あまりにも的確な指摘に、エルジラは「うっ…」と狼狽えた。

 実際、ティアは支部の入り口を守っているだけで、他は全部エルジラが対処している。

 高さ20mの第7支部全域に攻め込む、数千体のロボット相手を――だ。

 ちなみに、今第7支部の周囲では、巨大な竜巻やらマグマの噴火やら大津波やら積乱雲の地上発生やら地割れやら食鉄植物の異常発生やら直径3センチの雹やらで凄惨なことになっている。天罰だとしてももう少し穏便にならないのかと呆れ返るレベルだ。

「何でその身一つで天災ブチかましてんですか~。私が怒ったらお前の村の直下から噴火が起こるぞとでも言いたいんですか~」

「い、いや、そういうわけでは……。なんで私に対してそんなに厳しいんだティア!?」

 珍しく嘆くエルジラを無視して思うのが、

……これ、後始末どうするんでしょうね~?

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