「よし、ここのゲートも塞ぐよ! 早くゲートに入れ!」
『はい!』
カレルは見つけたゲートから一度出て、外でゲートを守っている守護者たちを中に入れさせた。守護者が中に入るまでの間はもうすでにゲートから出ている一つ目ロボを駆逐していた(20秒ほどで終わったが)。
全員が中に入ったのとロボが全滅したのを確認してから、大分少なくなってしまった銀髪に手をやり、残量の7割ほどを二つの強靭な魔糸(まし)へと変える。そして、ゲートを上下から順に縫い付けていき、中央に人ひとり入れるか否かくらいのスペースを残す。そして、引き絞れば完全に閉じる形で魔糸を引っかけ、ゲートの中に入ると同時に引き絞ってゲートを閉じる。実はこの方法、ついさっき思いついたものである。この方法使ってればタッカも一緒にこっちに来れたのにな、とか考えないでもない。
「よし…。後はタッカか、守護者10人のどっちかは合流してくるかな。そこそこ戦力整ってきたから、ライムの中身の回収か、ロボの生産施設の殲滅のどっちかを片づけたいんだけど…。ライム。場所は分かる?」
ゲートの中に戻ったカレルは、ライムに尋ねた。
「ええ、大体は…。たぶんあっちの方向だと思います」
ライムが指差した方向からは、またロボットたちが現れてきていた。
「了解。たぶん、生産基地も同じ方向らしいね。できれば全員で行きたいんだけど…」
自分で言ってあれだが、これは正直難しいと思う。それなら現地で集まった方が効率的ではあるだろう。
「んじゃ、とりあえずは敵が来る方に進んでって、生産工場を潰す。その後にゆっくりライムの中身を探す方向で行くよ」
「「『了解!』」」
ロボットの大群が湧いてくる方に向かって魔法を放ちながら、俺たちは進撃する。
「いやぁ、まさかティオまで出てくるとはなあ! ティアちゃんは支部でお留守番か?」
「ああ。そんなとこだ」
今、タッカは第7支部のオペレーター(の片割れ。もといハズレ)、ティオと並んでゲートの中を駆けている。ゲートの方は他の守護者に任せているため安心だ。
「はぁ…。それにしても、なんで来たのがお前の方なんだよ…。オレはティアちゃんと共闘したかったのによぉ…」
そう。ティオが弱いわけでは決してないが、気分的にはやっぱりかわいらしいティアと背中を合わせたかった感はある。
「うるせぇ黙れ。それはこっちも同感なんだよ。俺はライムを助けるために来たってのに…」
「さっきカレルから連絡あったけど、敵が湧いてくる方向にロボの生産基地があるから、そこで合流だってさ」
「そうか…よし! 気合入れていくぞ!」
「お…おう」
ライムと会えるとわかった途端元気になりやがって…と内心思うが口には出さない。
「ライムと会えるとわかった途端元気になりやがって…。そんなに好きになったのか?」
…つもりだったが口が滑った。おまけつきで。
「ブふがばッ!? そ、そそそ、そんなことはないぞ!? ただ、さっさと事を終わらせたいだけだ!」
その結果は予想以上に面白かった。
「ま、いいか。お前の恋愛事情には興味ねーし。ほら、行くぞ」
「いやだから恋愛事情とかじゃねえって!」
全速力でダッシュしながら隣を並走するティオに一言。
「いっとくが、男のツンデレは正直引かれるから、気を付けた方がいいぞ?」
言った瞬間、ティオは木の根に躓いて豪快に転んだ。